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“役に立たない会議”はなぜ生まれるのか──意思決定と沈黙の経営学

“役に立たない会議”はなぜ生まれるのか──意思決定と沈黙の経営学

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国際行政書士 岩上真也
AI時代の組織設計コンサルティング / 経営思考の伴走者

経営者が抱える「言葉にならない違和感」を、問いとして言語化。 AIを思考の拡張とし、組織の「空気」と「構造」を再設計することで、事業の本質的な成長と、社員が「ここにいていい」と感じられる未来を共創します。 外資系企業の設立・ビザサポートから、会計・経営・AI戦略まで幅広く支援。

Table of Contents
“役に立たない会議”はなぜ生まれるのか──意思決定と沈黙の経営学

こんにちは。ラプロユアコンサルティング行政書士事務所 代表の岩上です。

このコラムでは、話し合っても何も決まらない会議の原因を、“構造設計”という視点から解説します。
情報共有と意思決定の混同、責任回避の空気、沈黙が生まれる理由を具体的に掘り下げ、経営者やマネージャーが今日からできる3つの改善策を紹介します。


「この会議、なんでやってるんでしたっけ?」──
それは、私があるクライアントの役員に思わず口にした一言でした。

週に一度、必ず開かれる“幹部会議”。
資料はきっちり整い、報告も一通り終わる。
みんなが真面目に頷いて、時には意見も交わす。

──でも、終わったあとはいつも同じ感覚が残るんです。

「…で、何が決まったんだろう?」

これは、私だけの経験ではありません。
中小企業でも、大企業でも、役所でも──
“会議”という名前の時間が、実際には「何も決まらない儀式」になっていることが、驚くほど多いのです。

「話し合っているはずなのに、なぜか前に進まない」
「毎回出席してるけど、自分の発言が意味ある気がしない」
「会議で発言すると、逆に浮いてしまう気がする」

そんな声を、現場の方から何度も聞いてきました。
なかには「話さない方が得」とすら感じてしまう職場もあります。

つまり──
会議そのものが“無力化”されているのです。

そして、それが経営判断の速度や質にまで影響している。
これは、見過ごせない構造的な問題です。

にもかかわらず──
多くの経営者は、こう考えています。

「話し合いが足りないから決まらないんだ」
「もっと情報共有すればいい」
「会議を増やしてカバーしよう」

…でも、ほんとうにそうでしょうか?

もしかすると──
“話しても、決まらない”という現象には、もっと根深い理由があるのではないでしょうか。

たとえば、
誰も反論しない“沈黙”が生まれるのはなぜか?
そもそも、意思決定がどこでなされているのか?
発言が意味を持たないのは、個人のスキルの問題なのか?

このコラムでは、そうした“役に立たない会議”の奥に潜む、
意思決定の構造不全、そして沈黙が支配する組織の“言えなさの連鎖”に焦点を当てていきます。

もし、あなたの会社にも──
「誰も反対しないのに、何も決まらない」会議が存在しているとしたら。

それは、単なる会議術やファシリの問題ではなく、
経営そのものの“設計図”が、静かに狂ってきている合図かもしれません。

その“沈黙”は、誰がつくっているのか。

なぜ「話し合っても決まらない」のか?

なぜ「話し合っても決まらない」のか?

情報共有と意思決定が、ぐちゃぐちゃに混ざっている

「いまの会議、結局何だったんですか?」
私が同席したある現場で、若手の幹部候補がぽつりと呟きました。

そこでは売上の数字が並び、顧客トラブルが報告され、方針の確認がされました。
でも、誰も責任を取る判断をしていなかった。

──それでも、「いい会議だった」と上司は言うのです。

会議が“話し合いの場”だと思われているかぎり、
「情報の共有」さえできていれば“それなりに成功”と評価されてしまう。

でも、よく考えてみてください。
本来、会議とは“何かを決める”ための場ではないのでしょうか?

情報の共有は、会議じゃなくてもできる。
チャットでも、週報でも、議事録でも、動画でも──方法はいくらでもあります。

にもかかわらず、
「情報をみんなで聞いて終わり」になっている会議が、全国でどれだけ多いことか。

──情報共有と意思決定が、ぐちゃぐちゃに混ざってしまっている。

それこそが、“話し合っても決まらない”最大の原因です。

「決める前提」が、最初から欠けている

ある企業では、議題の8割が「報告」で構成されていました。
そして残りの2割も、“意見収集”という名の「判断回避」だったのです。

「ご意見あれば…」という言葉は出る。
でも、“誰が判断者で、いつまでに、どう決めるか”は一切、議題に含まれていない。

つまり──
意思決定の設計図が、会議に“初めから存在しない”状態なんです。

だから、話し合っても、進まない。
そもそも“進むように設計されていない”んです。

経営とは、「場の設計」です。
会議という場に、「結論に向かう構造」を設計していなければ、
どんなに有能なメンバーが集まっても、迷子になるだけです。

責任回避としての“空気の共有”が習慣になっている

もう一つの深刻な構造──それは、「空気を読む」ことで責任を回避する会議文化です。

「みんなが納得してから決めましょう」
「この件はもう少し様子を見ましょう」
「現場の声も、ちゃんと聞いてからにしましょう」

こうした“優しさ”に見える言葉の裏に、
実は「誰も責任を取りたくない」という心理が流れていることが多いのです。

全員でなんとなく“合意した空気”をつくる。
そして「自分はその場にいただけ」と言えるようにする。

──これはもう、“儀式”です。

意見があっても、「空気を壊す側」になりたくない。
正論を言っても、「面倒な人」扱いされるかもしれない。
だから、黙る。

でも、それは構成員が“無能”だからではありません。

責任を取りにいく仕組みが、
そもそも経営の中に、設計されていないからです。

🔧 会議を“決める場”に変える3つの処方箋
①「情報共有」と「判断議題」を明確に分ける
→ 議題名に「承認」「決定」「意見交換」のラベルをつける

②「誰がいつまでに判断するか」をセットで提示
→ 議題は“判断設計図”として提出。形式化しておくと全体が変わる

③「次回までにどう進めるか」を“場の出口”として設計
→ 結論が出なくても、次の動線を明示して閉じる

話し合っているのに、何も決まらない。
その裏には、「責任と判断を共有しない構造」が、確かに存在しています。

会議は、決断の“試験場”です。
試験を受ける気のないまま座っているメンバーを、誰が責められるでしょうか?

変えるべきは、姿勢よりも──構造です。

“沈黙”に宿る経営の責任

“沈黙”に宿る経営の責任

その沈黙は、“無関心”ではない

「なにか意見はありますか?」

その問いかけに、誰も口を開かない──
この瞬間、経営者は無力感に襲われるかもしれません。

「みんな、やる気がないのか」
「このテーマに関心がないのか」
「自分の言い方が悪かったのか」

……けれど、答えはもっと残酷で、構造的です。

“発言する意味が、ないと判断されている”

意見が出ないのは、やる気がないからではありません。
多くの場合、それは「過去に話した経験」がもたらす“学習結果”なのです。

たとえば──

  • 以前、思い切って反対したら「空気を乱すな」と言われた
  • 誰かの案に疑問を投げかけたら「じゃあお前がやれ」と責任を押しつけられた
  • 勇気を出して発言しても、「そうですね」で流されて終わった

そんな“経験の積み重ね”が、「発言するだけ損」という認知を生み、
やがてそれは「語らない文化」へと形を変えていく。

“語られなさ”が、構造に埋め込まれていく

語られなかった言葉は、次第に“空気”になる。

「どうせ変わらない」
「話しても意味がない」
「それを言うと面倒くさい」

そんな諦念が、会議室という密室で静かに増殖していくのです。

私は過去にある企業で、
「会議室に入った瞬間、息をするのが重くなるような感覚」を覚えたことがあります。

形式は整っている。
役職順に並んだ席、決まった進行、完璧な配布資料。
でも──

“会話が成立していない”

問いがあっても、返されない。
冗談を言っても、笑わない。
誰かが沈黙を破ろうとすると、一瞬の間のあとに別の話題が始まる。

──これは、組織の“心理的インフラ”が崩れている状態です。

経営者が“何もしていない”ことで、文化ができていく

「そんなつもりはなかった」
「自由に発言してほしいと思っていた」
「意見があるなら、言ってくれればいいのに」

──そう考える経営者は、たくさんいます。
けれど、それは“構造として設計された自由”ではありません。

自由は、明言されなければ“存在しない”とみなされます。

だからこそ、「本音を言える会議」にしたいなら、
まずは経営者自身が「沈黙を破る仕掛け」を設計しなければなりません。

具体的には──

🔧“語られる組織”を設計する3つのアプローチ
① 「反対意見が欲しい」と明言する
→ 単なる許容ではなく、「望む」姿勢を明文化

② 「意見が出なかった理由」を問い直す
→ 「どうして沈黙だったか?」をチーム全体に“設計として”問う

③ 「最初のひとこと」を拾う文化を作る
→ 発言の“内容”ではなく、“勇気”そのものを称賛する

沈黙とは、問いの失敗ではなく、“設計の欠落”である

私は最近、あるチームの定例会で──
ファシリがこう言った場面に立ち会いました。

「…今、誰も口を開かない。それは、皆さんが悪いのではなく、
この場が“発言する設計”になっていないからです。ごめんなさい、これは私の責任です」

……そのあと、
“初めて意見を出したメンバー”がいたんです。

沈黙は、破られるのではなく、
“意味を与えられる”ことによって、初めて変質します。

そしてその設計を担えるのは、「経営者」以外には存在しません。

もし、沈黙が日常になっている組織があれば──
それは、まだ言葉が芽吹ける“余白”を残しているのかもしれません。

その余白に、最初の言葉を置く人になる。
それが、経営者の最も静かな“仕事”かもしれません。

会議の“存在理由”を問い直す

会議の“存在理由”を問い直す

その会議、本当に必要ですか?

「そもそも、この会議って何をする場なんでしたっけ?」
私がこう聞いたとき、しばらく沈黙が流れたことがあります。

事務局は「情報共有のため」と答え、
役員の一人は「みんなの温度感を揃える場だと思っていた」と言い、
経営者は「意思統一と、判断のため」と答えました。

──つまり、誰も“共通の目的”を持っていなかったのです。

あなたの会社では、会議の「定義」を明文化していますか?

会議とは、“集まって話す場”ではなく、“意思を決めて動かす場”です。

ある調査によると、
日本企業の中間管理職は、1週間の業務時間のうち平均16.7時間(約40%)を会議に費やしているにも関わらず、意思決定がなされる割合は全体の18%に満たないというデータがあります[2]

つまり──
「何も決まらない時間」に、週の半分近くが費やされている。

これは、“損失”です。
金額換算するまでもなく、企業体力を削る静かな構造崩壊です。

意思決定が起きないなら、会議はいらない

会議とは、「決める場」でなければなりません。

判断をする。
責任を明確にする。
次のアクションが動き出す。

この3つが揃わなければ、それは“会議”の皮を被った「儀式」に過ぎないのです。

ではなぜ、多くの会議が「決める」ことを避けてしまうのか。

それは、意思決定とは“孤独”を引き受ける行為だからです。

決めた人が、責任を負う。
それは当然のことですが、
だからこそ「誰が決めるか」が曖昧なまま放置される。

結果、「みんなで話し合っていたから、みんなの意志」という空気が生まれ、
責任の所在が霧散する。

──そうして、組織が“動けない身体”になっていくのです。

AIが会議を代行する時代に、経営者の仕事は何か

近年、AIによる会議記録や意思決定支援の導入が進んでいます。
実際、2024年の時点で、アメリカ企業の58%がAIツールを“会議内意思決定支援”に利用し始めており、
そのうち22%が「会議時間の削減」に成功したと回答しています[3]

AIは、話の論点を整理し、結論を推定し、次のアクションを自動提案してくれる。

では──経営者の仕事は、AIに奪われてしまうのでしょうか?

いいえ、むしろ逆です。

AIは「最適解」を提案します。
でも、「決断」はできません。

なぜなら、“決断”とは──
損失と不確実性を引き受ける「意味の選択」だからです。

「どちらが正しいか」ではなく、
「どちらに進むと決めるか」。

その一歩を踏み出すための“意味づけ”こそが、経営者の役割なのです。

AIに会議を任せる未来が来るからこそ、
経営者が担うべき仕事は“問いをつくること”、
そして“意味を決めること”に変わっていくのです。

問い直しましょう──あなたの会議に“決断の余白”はありますか?

最後に、もう一度だけ問います。

あなたの会社の会議には、
“結論を出せる構造”が設計されていますか?

もし今、少しでも「たしかに…」と感じたなら──
それは“会議の再設計”に向けた、最初の問いが生まれた証です。

沈黙に意味を。
対話に構造を。
会議に、“未来を決める理由”を。

🧭 48時間以内にできること
・「この会議で決めるべきことは何か?」と開会前に明言する
・「次の一手」が明文化されない会議は開催しないルールにする
・AI議事録ツールを導入し、「判断の遅延理由」を見える化する

よくあるご質問(FAQ)

Q. 会議で誰も発言しないとき、どうすればいいですか?

A. 「発言してもいい空気」があるかをまず問い直してください。最初の一人を称賛する構造が重要です。

Q. 意思決定がなかなか下せないのですが、どう改善できますか?

A. 議題に「判断者」「期限」が書かれているかを確認し、判断の設計図を明示してください。

Q. 会議が多すぎて疲弊しています。そもそも削っていいのでしょうか?

A. “決めることがない会議”は削減OKです。意思決定回数をAIで可視化するのも効果的です。

Q. 自分の会社に「沈黙文化」が根付いていると感じます。変えられますか?

A. 「発言しづらい理由を問う」ことが、文化変革の第一歩になります。構造設計から見直しましょう。

まとめ:沈黙は“問題”ではなく、“問い”の始まり

📌 この記事の 3 行まとめ

  • 「話し合っても決まらない会議」は、“設計されていない構造”の症状である
  • 沈黙は“悪”ではなく、“問いを生み出す余白”として意味づけができる
  • AI時代の経営者には、“決める場をつくる力”が問われている

“役に立たない会議”が組織に根を張ると、
その会社はゆっくりと、しかし確実に「決められない組織」になっていきます。

けれど、それは「人のせい」ではありません。

多くの場合、それは“構造”として起きている。

情報共有と意思決定の混同、
発言が意味を持たない過去の記憶、
判断者が曖昧なまま流れる会議──

それらの積み重ねが、
「誰も悪くないのに、何も変わらない」状態を生み出してしまうのです。

だからこそ、問いましょう。

あなたの会社の“沈黙”は、
本当に「無関心」から生まれているのか。

もしかすると、それは「語られなかった問い」が
ずっと会議室の片隅に、座っていたのかもしれません。

そして、もし今──

あなたがその“問い”に気づいたのなら、
それだけで組織は、もう動きはじめています。

沈黙に意味を与えるのは、言葉ではありません。
「どう語られるべきだったか」を設計する、あなたの意思です。

その沈黙が、問いの始まりだったのだとしたら──
あなたの“次の問い”は、どこへ向かうでしょうか?

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