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理念は“語らなくていい”──赦しとしてのパーパス経営

理念は“語らなくていい”──赦しとしてのパーパス経営

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国際行政書士 岩上真也
AI時代の組織設計コンサルティング / 経営思考の伴走者

経営者が抱える「言葉にならない違和感」を、問いとして言語化。 AIを思考の拡張とし、組織の「空気」と「構造」を再設計することで、事業の本質的な成長と、社員が「ここにいていい」と感じられる未来を共創します。 外資系企業の設立・ビザサポートから、会計・経営・AI戦略まで幅広く支援。

Table of Contents
理念は“語らなくていい”──赦しとしてのパーパス経営

会社理念は“語らなくてもいい”!?


こんにちは。ラプロユアコンサルティング行政書士事務所 代表の岩上です。

「理念って、嘘くさいよな──」

そう感じたことのある経営者は、少なくないのではないでしょうか。

最近よく耳にする「パーパス経営」という言葉も、 美しくはあるけれど、どこか遠い世界の話のように感じてしまうことがあります。

“存在意義”や“社会的価値”を明確にしよう。
“顧客の共感”や“社員のモチベーション”を高めよう。

たしかに、そうした発信は理想的です。
けれど現場では、こんな声も聞こえてきます。

「理念なんて掲げても、結局は数字がすべてでしょう」 「社内掲示板に貼ってある言葉を、誰も見ていない」 「そもそも、自分自身が信じきれていない」

理念が届かないのは、社員の感度が鈍いからではありません。
経営者の言葉に“温度”が宿っていないからでもない。

それは、おそらく──
“まだ語ってはいけない段階”にある理念だったからです。

パーパス経営とは、本来「意味を掲げる」ものではなく、
「問いを持ち続ける構造」なのではないか。

そんな前提から、このコラムでは
理念の役割を“正しさ”ではなく“問い”として再定義してみたいと思います。

理念は、誰かに示すものではなく、
まず自分自身が“赦されたい”と願うところから始まる。

そして、問い続ける覚悟を持つこと──
それこそが、経営者にとって最初で最後の「誠実」なのかもしれません。

なぜ“パーパス”が語られても、社員の心は動かないのか?

なぜ“パーパス”が語られても、社員の心は動かないのか?

言葉だけの理念は、誰にも届かない

「我々のパーパスは、“誰もが挑戦できる社会の実現”です」
「“らしさ”を起点に、自己表現を支援する──それが私たちの存在理由です」

最近では、パーパス経営を取り入れる企業が増え、
採用ページやプレスリリースにも美しい言葉が並ぶようになりました。

ですが──社員の側からは、こうした声も聞こえてきます。

  • 「結局、現場でやってることと理念がつながっていない」
  • 「スローガンはあるけど、意思決定が理念に沿っていない」
  • 「誰の言葉か分からない。自分の言葉じゃない」

理念は、“掲げるだけ”では意味を持ちません。

それはまるで── 駅前に建てられた、誰も見上げないオブジェのようなものです。

存在しているのに、心には届いていない。

パーパスが“自分ごと”になるには何が必要か

理念に共感が集まるとき、そこには「語られた物語」があります。

なぜそれを掲げるのか。
どんな背景や葛藤があったのか。
誰が、それを最初に語ったのか。

特に中小企業では、“社長自身の体験”がパーパスの核になることが多いのですが、
それが言葉として伝わるかどうかは、また別の問題です。

社員が「これは社長のスローガンじゃない、自分たちの行動指針だ」と思えるかどうか。
その“主語の移動”が起きたとき、初めて理念は組織を動かします。

語られない問いのほうが、組織を動かす

理念が明文化されると、「これが正解」「これが軸だ」と思われがちです。

けれど、本当に機能している企業では、理念より先に“問い”があります。

・どうやって顧客と関係を築くか?
・本当に社員はこの方向性に納得しているか?
・自分たちが儲かることと、顧客の幸せは両立しているか?

こうした問いが、毎日の会議や現場で繰り返されているかどうか──

それこそが、パーパス経営が「語る理念」から「考える組織」へ移行した証拠です。

理念とは、「思い出す言葉」ではなく、
「忘れられない問い」なのかもしれません。

理念は、“赦されたい気持ち”から始まる

理念は、“赦されたい気持ち”から始まる

企業は、誰かの我慢の上に成長する構造なのかもしれません。

企業が成長するとき──
必ずしもすべての関係者が“納得している状態”で進んでいるとは限りません。

過剰なノルマ、苦しい労働時間、急ぎの納品。
あるいは「自分たちは大丈夫」と思い込む情報の非対称。

どれだけ“お客様第一”を掲げていても、
無意識のうちに現場にしわ寄せがいっているケースは、少なくありません。

実際、「パーパス経営」を掲げる企業の中でも、
理念と現場のズレに悩む声は多く見られます。

成長とは、結果的に「誰かに負担を強いる構造」を孕みやすい。
その現実に目をそらさず、向き合おうとする誠実さが、 理念のはじまりなのかもしれません。

理念は過去の棚卸と、未来への祈りである

理念は、綺麗な言葉を未来に向けて放つ“スローガン”ではありません。

それよりも、これまでの歩みにおいて──
誰を置き去りにしてきたのか。何を犠牲にしてきたのか。

そうした「自分たちへの問い直し」があって、初めて、
“このままでは終わりたくない”という祈りが生まれる。

過去を棚卸し、その不完全さを抱えたまま、 次のフェーズへと進もうとすること。

それはまさに、経営における“赦し”のプロセスです。

「このパーパスは、自分たちの未熟さの延長線上にある」
そう思えるとき、理念は単なる表明から“内省の構造”へと変わります。

「問い続けること」こそが、唯一の誠実さ

理念を掲げるとき、組織は一種の“正しさ”を纏います。

しかし、経営とは常に“矛盾とグレー”の中にあります。
その中で正しさを維持しようとすると、現場との乖離が生じてしまう。

だからこそ、問い続けること──
「この理念は、今の自分たちに耐えられているか?」と、定期的に問い返すことが大切です。

その問いの継続こそが、パーパス経営の本質です。

理念を掲げるのではなく、
理念を“問いとして抱えること”が、組織を深めていくのです。

🧭 ワンポイント補足
・理念と現場の間にズレを感じたとき、それは“崩れている”のではなく“問われている”サインです。
・「赦されたい気持ち」に触れると、パーパスは“正当化”ではなく“内省”として働きます。

パーパスを“語らずに機能させる”方法とは?

パーパスを“語らずに機能させる”方法とは?

社員が同じ言葉を語らずとも、共鳴は起きる

パーパス経営を導入した多くの企業が、まず「理念を浸透させる」ことに注力します。
社員全員に暗唱させる、朝礼で読み上げる、社内報に載せる…。

けれど、それが形式化されると、
パーパスは“語られる理念”から“感じられないノイズ”に変わってしまうことがあります。

理念とは、言葉より先に「動きの方向」が揃っている状態。
それが、本来の“機能する理念”のかたちではないでしょうか。

たとえば──

進学塾や資格学校のような現場では、
“理念”という言葉を口にせずとも、講師たちが自然と同じ方向を向いていることがあります。

「全員を志望校に合格させたい」「この子を絶対に受からせたい」
そんな思いが、日々の指導や声かけに滲み出ている。

誰もが理念を語らなくても、
“行動の奥にある目的”が共有されていたのです。

けれど──

その空気が、制度によって管理されはじめると、
講師たちの視点は徐々にずれていきます。

目の前の生徒ではなく、指導マニュアルやKPI評価が主語になっていく。
そして気づけば、誰も“合格させたい”とは語らなくなっている。

このズレは、どんな組織にも起こり得ます。
パーパスが“言葉”ではなく“空気”として機能していた組織が、
管理設計の変更で一気に崩れてしまう──そんな場面を、実際に目にしてきました。

理念よりも先に熱量があり、行動がある

理念を浸透させるには、「語らせる」よりも、
「感じさせる」構造をつくる方が効果的です。

実際、社員が自然に同じ判断をする場面には、
明文化された理念ではなく、“熱量から生まれた共通パターン”が潜んでいます。

たとえばある企業では、
「お客様の“なんで?”に、最短で答える」という姿勢が、
全員の判断に一貫して現れていました。

この言葉自体は、どこにも貼り出されていない。
けれど、現場の誰もが“なんで?”に反応し、先回りする文化が根付いているのです。

理念とは、あとから気づくもの。
まずは“最近熱中した仕事”を思い出すことから、 パーパスの種が見えてくるかもしれません。

理念を“形”ではなく“働き”として設計する

理念が語られずとも伝わるためには、 その“働き”が組織構造に埋め込まれている必要があります。

たとえば──

  • 会議で判断に迷ったとき、「それは誰のためか?」と問うルールを設ける
  • 採用面接で「この会社に合っている行動」を定義ベースで説明する
  • クレーム対応の際、理念に沿った選択肢を“再選択できる仕組み”を用意する

こうした“見えない設計”によって、理念は語られなくても働きます。

パーパス経営とは、
「理念を覚える経営」ではなく、 「理念が自然に使われている経営」への移行です。

語らないけれど揃っている── その静かな力が、組織の強さを支えていくのだと思います。



もちろん、組織が大きくなるにつれ── 理念を“語らずに済ませる”ことが難しくなるのも事実です。

多様なメンバー、拠点、業種、文化が入り混じるなかで、
共通の「願い」や「方向性」を可視化するには、言語化されたパーパスが必要になる。

けれど、それは単なるスローガンでは意味を持ちません。

ブランド、ストーリー、社会貢献、共感、インパクト──
そのすべてを内包し、なおかつ“理念そのものが問いを抱えている状態”でなければ、 やがてそれは“経営層の自己満足”に変わってしまうかもしれません。

だからこそ、“理念は問いである”。
この原点だけは、どれだけ組織が大きくなっても変わらないはずです。

🧭 明日からできる小さな設計
・最近、社員が自然に同じ判断をした場面を思い出す
・その背後にある“理念の種”を、言葉にせずに記録してみる
・理念はポスターではなく、“判断の沈黙”として働いているかを観察する

よくあるご質問(FAQ)


Q. パーパス経営って、結局なにが重要なんですか?

A. 最も重要なのは“社員が言葉ではなく行動で共鳴しているか”です。理念の浸透ではなく、「自然に判断できる場の構造」が本質になります。

Q. 理念が社員にまったく響いていないと感じています。どうすればよいですか?

A. まずは理念を語るのをやめてみてください。“最近社員が熱中していたこと”や“自然と揃っていた行動”を振り返り、その中にある“言葉になっていない理念”を探すことから始めましょう。

Q. パーパスが空回りする原因って何ですか?

A. 理念を“掲げること”自体が目的になり、本来の“判断基準”や“行動の設計”に落とし込まれていないケースが多く見られます。理念を使わずに組織が回っている場面を見つけることがヒントです。

Q. 理念を語らずに共有できるなんて、本当に可能なんですか?

A. 可能です。進学塾や職人の現場など、理念を語らずとも「同じ目的」に向かって揃っている職場は少なくありません。理念は“言葉より先に、空気として共有される”という前提から見直してみてください。

まとめ:パーパス経営とは、問い続ける“構造”である

パーパス経営とは、企業の存在意義を言語化し、社員や顧客に伝えること── そのように解釈されがちです。

しかし本質は、「言葉を掲げること」ではなく、 「問いを共有し、迷いながらも同じ方向を向ける構造」を育てることにあります。

理念は、語れば語るほど薄くなることがあります。
逆に、語られないままでも、社員の判断や行動に“にじみ出ている”とき、
それは真に機能している状態といえます。

企業が成長する過程で、現場にしわ寄せが起きることもある。
理想と現実がねじれる場面もある。

だからこそ──

問い続ける。
赦されたいと願う。
“その問いがある限り、まだ理念は生きている”。

パーパス経営とは、組織に問いの構造を残すこと。
その問いを、語らずに“働かせる”こと。

それこそが、これからの理念のあり方ではないでしょうか。

📌 この記事の 3 行まとめ

  • パーパス経営の本質は、“語る理念”ではなく“問いの構造”である
  • 理念は、語らずとも社員の行動に“にじみ出る状態”を目指すべき
  • “赦し”と“問い続ける姿勢”こそが、これからのパーパスを動かす力になる

理念を語れない自分を、どうか責めないでください。

問い続けているあなた自身が、もうすでに“それ”の体現者かもしれません。

またお会いしましょう。

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