2025年5月20日|創業当初の「壁」と“問い直し”の力――経営者としての原点
こんにちは。行政書士の岩上です。
今回は「創業当初の乗り越え方」について、行政書士・経営者の両視点からお話したいと思います。
起業の現場は、どんなに準備を重ねても“思い通りにいかないこと”の連続です。私自身、創業当初の数年は、まさに“壁”と“迷い”の連続でした。
私が独立したばかりの頃、理想と現実のギャップに毎日悩まされていました。
「この仕事を選んでよかったのだろうか?」「自分に本当に経営者の素質はあるのか?」
朝起きて事務所に向かう途中、ふと立ち止まってしまう日もありました。
開業資金は十分とは言えず、最初の数か月は売上もほぼゼロ。
頼りにしていた知人の助言も空回りし、契約がなかなか取れない現実。
「なぜ、自分はここまでやりたかったのだろう?」と何度も問い直していたのを今でも鮮明に覚えています。
そんなある日、初めて経営管理ビザの相談で外国人経営者が事務所を訪ねてくれました。
彼もまた、異国の地での創業に戸惑い、同じように「赤字でも絶対に会社を潰したくない」と語っていました。
「法律や手続きは不安だらけです。でも、ここで引き下がったら、何のために日本に来たか分からなくなります」
その言葉を聞きながら、「経営者としての苦しさも迷いも、誰もが通る道なんだ」と妙な安心感が生まれたことを覚えています。
法制度や行政の審査は、時に“冷たい壁”となって私たちの前に立ちはだかります。
ビザの更新や永住権取得の手続きは、書類の不備や実績不足があれば一瞬で“NO”を突き付けられます。
それでも私は、「数字や制度の先にある“人間の本音”に向き合うこと」こそが、
経営者・行政書士としての一番の仕事だと考えるようになりました。
これまでに何度も「赤字で苦しい」「融資も断られた」「ビザ更新も厳しい」
そうやって涙を流し、時に絶望しかけた経営者に出会ってきました。
でも、彼らがそこから立ち上がるきっかけは、いつも「自分自身への問い直し」でした。
「自分はなぜ、経営を続けたいのか?」
「何を失っても、絶対に守りたいものは何か?」
この問いに正直に向き合ったとき、必ず“もう一度やってみよう”という勇気が生まれるのです。
私自身も、創業2年目に初めて大きな赤字を出しました。
その時は「もう限界かもしれない」と思いましたが、家族や仲間の支え、
そして何より、過去に相談に乗ったクライアントたちの言葉が心に浮かびました。
「先生があの時、やめなかったから今の私があります」
この一言が、私に“もう一度挑戦する理由”をくれました。
創業の壁を乗り越えるコツは、「正解を探すこと」ではなく、
「思いや問いを手放さないこと」だと思います。
迷っていい、悩んでいい。
大事なのは「今ここに自分がいる理由」と、「これから本当にやりたいこと」を
諦めずに問い続ける姿勢です。
今、このコラムを読んでいる方の中にも、
「自分に経営者の素質があるのか」「この選択は正しかったのか」と悩んでいる方がいるかもしれません。
でも、それこそが“新しい一歩”のスタート地点です。
問い続け、動き続けることで、かならず壁は乗り越えられます。
そして、その姿が、同じように悩む仲間や社員、家族の勇気になるはずです。
法制度や数字の世界は厳しいですが、
その先には、必ず「人の想い」「仲間の支え」「未来を創る力」があります。
私も、これからもずっと“問いの伴走者”であり続けたいと思っています。
最後に――。
創業当初の「壁」は、新しい問いの始まりです。
何度でも問い直し、何度でも挑戦しましょう。
また次回のコラムで、新しい挑戦と問いの物語をお届けします。