2025年5月20日|AIを経営に活用する──変化の波をどう乗り越えるか
こんにちは。行政書士の岩上です。
今、「AIを経営にどう活かすか?」というテーマが、私のもとにも日々多くのご相談として寄せられています。
経営管理ビザの手続きや事業計画書の作成に携わる中で、「このAI時代に取り残されたらどうしよう」という、経営者の方々の本音の不安に何度も出会ってきました。
実は、こうした時代の波はこれが初めてではありません。
20年以上前、インターネットやパソコンが登場した当初にも、「自分には無理」「手書きの時代の方が良かった」と感じていた経営者がたくさんいました。
私の父が事務所を始めた頃は、FAXと電話、紙の書類だけで全てを回していたそうです。
その後、メールが必須になり、パソコン操作ができなければ行政書士として生き残ることはできなくなりました。
あの頃、「もう時代についていけない…」と悩み、静かに業界を去った先輩方の背中を私は今でも忘れられない、と父は言います。
時代は常に変化し続けます。
そして今、その変化の“加速度”はかつてないほど大きくなっています。
AIやChatGPTのような生成AIが、たった数年で当たり前のものとなり、
書類作成、事業計画のブラッシュアップ、英文翻訳、情報収集、さらには提案書や面談記録の下書きまで、「AIを活用するか否か」で業務効率や成果が大きく変わる時代になりました。
私が日々サポートしている経営者の中にも、「AIは難しそう」「自分には使いこなせない」「本当に導入の価値があるのか?」と悩む方は少なくありません。
ある製造業の社長は、「社員にAIを教える余裕がない」「結局コストばかり増えるのでは」と不安を口にしていました。
しかし、その社長と一緒に“AIで何ができるか”を一つ一つ分解してみると、
例えば「見積書の自動作成」「問い合わせメールの自動返信」「毎月の会議記録の要約」など、
意外にも“すぐに導入できる小さな活用法”がたくさんあることに気づきました。
私自身、AIの導入を決断した当初は正直不安でいっぱいでした。
「もし間違えた情報を出したらどうしよう」「自分の仕事が本当にラクになるのか?」と、何度も葛藤しました。
実際、AIに頼りすぎて大切な確認を怠り、顧客から指摘された失敗も経験しています。
ですが、失敗を繰り返しながらも、「人間だからこそできること」と「AIだからこそ頼れること」の線引きを自分なりに見つけられるようになりました。
経営現場でAIを活用する時、一番大事なのは「いきなり完璧を目指さない」ことです。
例えば、1日1回だけ、AIに相談してみる。
「こんなメールを英語で送りたい」と投げてみる。
「面倒な報告書のひな形を作って」と頼んでみる。
最初は小さな成功体験を重ねることが大切です。
最近では、ビザの申請理由書や契約書の初稿をAIで作成し、その後自分で仕上げるという経営者が増えています。
これだけでも、事務負担が格段に減り、「考える時間」「経営判断に集中する余裕」が生まれています。
実際に、「AIがあるから、もう一度挑戦しよう」「自分が変わってもいいんだと思えた」という声をクライアントから頂くたびに、
「道具は時代とともに変わっても、“挑戦する勇気”は変わらないんだな」と実感しています。
一方で、AI導入を急ぎすぎて失敗するケースも見ています。
社員の反発、セキュリティ上のリスク、使いこなせないまま放置されたシステム……。
こうした落とし穴に陥らないためには、「現場の声」と「経営者自身の問い直し」が欠かせません。
「AIで何がしたいのか」「どんな価値を生みたいのか」
答えは一つではありません。
過去を振り返れば、ネットやパソコンの時代に「変化を恐れて離れていった」経営者もいれば、
「一度失敗してもやり直す」「周囲と共に学び直す」ことで時代の流れを味方につけた経営者もいました。
どちらになるかは、たった一つの“問い”から始まります。
今、あなたの現場に、どんな迷いがあるでしょうか。
「本当に今のままでいいのか?」「何が一番の不安か?」「AIを導入して自分や会社はどう変わりたいのか?」
この問いと向き合い、小さな一歩から始めることで、必ず新しい未来が開けます。
最後に――
AIやITの時代、知識そのものの価値はどんどん“無料”に近づいていきます。
これからの経営者に本当に問われるのは、「知識そのもの」ではなく、
“自分や仲間だけの付加価値”をどう生み出すか、その問いを持ち続けることです。
時代の波に流されるのではなく、自分だけの“問い”を武器に、共に新しい未来を作りましょう。