こんにちは。ラプロユアコンサルティング行政書士事務所 代表の岩上です。
「もっと成長しなきゃ」「今のままじゃ、取り残される」
そんな焦りを、あなたもどこかで感じていませんか?
朝起きてSNSを開けば、誰かの資格取得の投稿や、成果を報告する声が目に飛び込んでくる。 一方で、自分は昨日と同じ仕事をこなして、同じ日常の繰り返し。 「このままでいいのだろうか」と、心がざわつく瞬間があります。
組織に属していれば、もっと明確です。 “評価”という名のモノサシが並び、誰が伸びていて、誰が足踏みしているかが、 あたかも数字で可視化される世界。
でも、本当にそれが“成長”なのでしょうか?
あるいは、「成長しなければならない」という空気の中で、 本当は私たちの“心”や“感性”のようなものが、削られてしまっているのかもしれません。
私は、日々さまざまな経営者や従業員の方とお話しする中で、 「成長って、何を指すのか分からなくなる」と打ち明けられることがあります。
だからこそ、今このタイミングで、
“成長”という言葉の重さと向き合い、そこから自由になる道を探してみたいのです。
今日は、個人と組織が向き合う“成長”をもう一度問い直し、 それぞれが「自分らしい進化」を見つけ直すための視点をお届けします。
1. 成長とは「目的」ではなく「結果」である

図:成長は“結果”として現れる──目的化した瞬間に、本質を見失う
私たちは、あまりにも自然に「成長したい」と言います。
企業もまた、「人材を成長させる」「組織としての成長を加速させる」と宣言します。
けれど、その“成長”とは、いったい何を意味しているのでしょうか?
多くの場合、そこには数字があります。売上、スキル、資格、肩書き。
そして、それらの数字に“到達すること”こそが「成長」だと思い込んでしまう。
しかし本来、成長とは「目的地」ではありません。
何かに真剣に取り組み、失敗して、試行錯誤して、気づいたら“変わっていた”とき── それが「成長」の本質ではないでしょうか。
たとえば子どもの成長を想像してみてください。 彼らは「身長を3センチ伸ばそう」と思って生活しているわけではありません。
日々遊び、悩み、転びながら、それでも少しずつ前に進んでいる。
そして、ある日ふと、親が気づく。「あれ、もうこんなに大きくなったのか」と。
この“気づき”こそが、成長の証です。

図:成長は“結果”として現れる──目的化した瞬間に、本質を見失う
ところが私たちは、いつからか「成長しなければいけない」と思い込むようになりました。
資格の勉強を始めるのも、ビジネススキルを磨くのも、「成長が目的」になってしまっている。
でも、その“目的化”は、時に自己否定の温床にもなります。
なぜなら、どれだけ努力しても「まだ足りない」と思ってしまうからです。
“成長”を「何かに届くための道」と捉えると、今の自分は“まだダメな存在”になってしまいます。 しかし、“成長”を「何かをやりきった後に気づく変化」として見るなら、 今のあなたも、すでにその途中にいるのかもしれません。
だからこそ、私は提案したいのです。
“成長”とは、目的にするものではなく、ある日ふと“結果として現れている”ものだということを。
その感覚に切り替えられた瞬間、あなたはもう、無理に頑張る必要がなくなるかもしれません。
2. 「同じペースで成長すべき」という幻想

図:組織内の成長には“速度差”があって当然
「あの人は、どんどん成長しているのに、私は……」
そんなふうに、自分を誰かと比べて、落ち込んでしまうことはありませんか?
あるいは、企業の中で「誰もが同じスピードでスキルを習得し、キャリアを伸ばすべき」といった空気を感じたことはないでしょうか。
でも、冷静に考えてみれば、人の成長が“同じ速度”なわけがありません。
誰もが違う環境、違う思考、違う経験を持ち、違うタイミングで気づきを得て、前に進む。
成長には、「今は停滞期かもしれない」と思える余白が、必要なのです。
それでも、私たちはつい「もっと早く進まなきゃ」「周りに遅れてる」と思い込んでしまう。
なぜなら、学校でも、職場でも、“横並び”が前提になっているから。
年齢で学年が決まり、入社年次で期待値が定まり、昇進スピードで能力を測られる。
でも、それって本当に健全な価値基準なのでしょうか?
最近注目されている「リスキリング」や「パーソナライズドマネジメント」も、 “学びや成長のタイミングは人それぞれ”という前提があって初めて意味を持ちます。
同じペースで成長すべき、というのは──ある意味、現代が作り出した“幻想”なのです。

図:組織内の成長には“速度差”があって当然
10月に咲くコスモスに、「なぜ春に咲かないの?」とは誰も言いません。 人にもそれぞれ、“咲く季節”があります。
咲いていない今は、ただの準備期間なのかもしれません。
私たちが本当に必要としているのは、“遅れている人を急がせる仕組み”ではなく、
“今は咲いていないけれど、ちゃんと土の中で根を張っている人”を信じて待てる文化なのかもしれません。
組織も、家庭も、社会も。
全員が同じ速度で成長する世界よりも──
それぞれのペースを尊重し合える関係性の方が、はるかに豊かでしなやかです。
3. 成長を測る“モノサシ”は誰のものか?

図:組織内での“成長”は誰の評価軸か──問い直すところから文化改革が始まる
「その人、最近どう? ちゃんと成長してる?」
そんな言葉を耳にしたとき、私たちはつい、「売上を上げているか」「昇進しているか」「新しい資格を取ったか」── つまり、“見える成果”で相手を測ってしまいがちです。
でも、本当にそれだけが“成長”なのでしょうか?
たとえば、部下が以前よりも他人の話をじっくり聴けるようになった。 あるいは、感情を言葉にできるようになった。 その変化を、数字で証明することはできるでしょうか?
こうした「静かな変化」は、表面に見えにくい分、“成長”としてカウントされづらい。
それでも、本人にとっては人生を大きく変える転換点だったりします。
ところが、組織において“評価”という制度がある以上、 どうしても「モノサシ」は明確化されます。
「成長=KPI達成」「成長=昇格」というロジックが根づいてしまう。
でも、そのモノサシは、誰が決めたのでしょう?
そして、そのモノサシは、誰の人生を測るためのものでしょうか?
最近、「AI人材育成」という言葉が注目されています。
DXや自動化の流れの中で、「人間にしかできない成長とは何か?」という問いが、あらためて突きつけられているのです。
もしかしたら、これからの時代は── 「他人が決めた成長基準」を目指すのではなく、「自分自身が納得できる変化」を見つけ直すことが、もっと大事になるのかもしれません。
組織にとっても同じです。
数字や成果だけで人を判断することが当たり前になったとき、
その組織からは、いつしか“人間らしい未熟さ”や“誰かを支える優しさ”が消えていきます。
ひょっとしたら、数字にならない成長を、私たちは見逃してはいないでしょうか?
100メートル走のタイムが速くても、誰かを思いやる力は測れないのです。
文化を変える第一歩は、成長の定義を問い直すことから始まります。
その“モノサシ”は、本当に自分たちの価値観と重なっているか?
今こそ、それを静かに見直すタイミングかもしれません。

図:組織内での“成長”は誰の評価軸か──問い直すところから文化改革が始まる
よくある質問(FAQ)
- Q. 成長していないと不安になります。どう向き合えばいいですか?
- その不安は、「成長=常に前進しなければならない」という思い込みから来ているのかもしれません。小さな変化や、停滞しているように見える時間にこそ、“育ち”の芽があることを思い出してみてください。
- Q. 成長を周囲と比較してしまう癖があります…
- 人は誰しも、無意識に他者と比べてしまうものです。ただ、その比較があなたを苦しめているなら、“比べる軸”を意図的に変えてみましょう。「昨日の自分」だけにフォーカスすることで、静かに誇れる変化が見えてくるかもしれません。
- Q. 組織として「成長を求めること」をやめたら、成果が落ちませんか?
- “求め方”を変える、という視点が大切です。強制的な成長ではなく、内発的な成長意欲が自然に育つ組織は、結果的に成果の質も継続性も高くなります。「強さ」より「しなやかさ」が問われる時代です。
- Q. 数字で測れない成長は、どう評価すればいいですか?
- まずは評価しようとする前に、「見つけて、言葉にして、認める」ことが大切です。“静かな変化”を見つける文化が根づくことで、数字に頼らない評価も少しずつ機能していきます。
まとめ──“成長”は、今ここにもう起きているかもしれない
・同じ速度で進まなければ、というプレッシャーは幻想である
・“誰のモノサシで成長を測るか”を問い直すことが、自由の第一歩
「成長しなければならない」──
そう信じてきた私たちは、いつの間にか“今の自分”を否定する癖を持つようになっていました。
でも、成長とは本来、“変化のあとに気づくもの”です。
誰かと比べるためのものでも、数字で証明するためのものでもなく、
静かに進んでいる“自分だけの歩幅”を、自分自身がそっと見つけるための感覚なのかもしれません。
組織にとっても同じです。
全員が同じ方向を向き、同じ速度で成長することを目指すのではなく、
それぞれのリズムで変化していくメンバーを“見守り合える文化”を育てること。
成長という言葉の裏に隠れた不安や比較の連鎖を、 今こそ、言葉にして問い直してみませんか?
あなたの中にある“まだ名前のついていない変化”──それに、あなたは気づいていますか?
🌱 今日のひとこと
変わらなきゃ、と思う日々の中に、もう変わっている自分がいる。
静かに、自分の歩みを見つけてあげてください。
またお会いしましょう。